カメラマンとして、数々の景観をファインダー越しに覗き、その変遷を見守ってきた山田脩二氏は、いまや淡路瓦師として淡路島で瓦を焼き続けています。「都市の建築物が高層化することで鉄やガラス、コンクリートといった硬い素材が主流になってしまった。社会の利便性を否定するわけではないが、もっと自然だけが持つ柔らかさや力強さを見直すべきではないか」という強い思いが、カワラマンへの転身を決意させたのです。ノミズでは、そうした山田氏に深い共感を覚え、互いのコラボレーションによって<山田脩二の瓦>というシリーズを製品化。独自の感性から生み出されるユニークな瓦たちを、ノミズの生産管理技術によって高いクオリティを実現しつつ提供しています。
<山田脩二の瓦>の特長は、ひとえに山田脩二氏という創作者の個性にあります。「瓦は屋根に葺くものという固定観念を捨てれば、床や壁、さらには広場や歩道にも、利用の可能性は広がっていく」という発想は、カメラマンとして柔軟な視点を培ってきた氏独自のものです。「瓦という存在を伝統性というフィルターだけ通して見れば、現代の景観や建築にはそぐわないかもしれない。しかし、太古の地層から掘りだされた土を焼いた自然な素材だと考えるなら、都市景観に失われつつある生命力を取り戻してくれる」という提言とともに、瓦製造の現場の発想を超えた世界観をもたらしてくれました。淡路ならではの土と技に、アーティスティックな感性を付加した景観材が<山田脩二の瓦>なのです。